ガットの張り方(1本張り)
バトミントンラケットのガットの張り方について紹介します。
今回使用するのは、バネ式ガット張り機のサンファスト(A-Win)のST-270を使用した1本張りですが、バネ式のガット張り機であればほぼ同様に張れると思います。

ラケットはカラカルのBN-60FFを使用していますが、ヨネックスのラケットもほぼ同様の手順で張れます。
新しいタイプのラケットは縦糸と横糸の穴が別々のパターンが多く、比較的張り易いように工夫されています。

ストリンガーの方によって様々な張り方があるかと思いますが、これからガット張りにトライしてみたい方や、代表的な張り方の一例としてご参考ください。

【もくじ】
@ガットの太さとテンション
Aガット張りの所要時間
Bガット張り機の設定と校正
Cラケットの設置とガットの準備
D縦方向ガットの張り上げ
E横方向ガットの張り上げ

@ガットの太さとテンション
プレイヤーとしての観点では、ガットの太さが太ければ耐久性が高く、細ければコントロールや反発に優れていると言われます。
また、ガットを高テンションで張ればコントロール性が向上しますが、ラケット本体を含め、耐久性は低下します。

張り易さの観点では、ガットのテンションが低い程、ガットの太さが細い程張り易さは向上します。
これは、小さなグロメットホールやガットとガットの間を通すことの繰り返し作業の中で、少しの作業性による時間差の積み重ねで発生します。
太いガットを高テンションで張るのはラケットの破損への配慮を含め、とても気を遣う作業になります。

また、ガットは寒いと収縮してテンションが少し高くなり、熱いと伸びてテンションが少し下がります。
張る場所と使用すする場所の気温差を考慮して、10℃あたり1ポンドを目安に張る時のテンションを変えると良いでしょう
例えば、体育館の気温10℃、24ポンドで使いたい場合、20℃の部屋で張る時は23ポンド程度に設定しておきます。
Aガット張りの所要時間
筆者がラケット1本のガット張りにかける時間は約1時間〜1時間半です。
ガットはテンションをかけた時にゆっくりと伸びる特性があるので、できるだけゆっくりテンションをかけ、何度か繰り返し引いた方が、張りあがった際に狙いのテンションになり易くなります。
慌てて張ると、クランプした後もガットが伸び続けるので、テンションは少し低めになる傾向があります。

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Bガット張り機の設定と校正

ガット張り機のテンションを所望の数値に調整します。

テンションメーター等を使用し、設定通りのテンションで引けているかを確認します。
誤差があるようだったら、目盛を再調整し、テンションメーター上で正しいテンションになるように調整します。
バネ式のガット張り機はチャックに挟んだ高さ方向の微妙な位置の違いによってテンションが変わるので、ガットが張り終わる迄、チャックに挟む位置が変化しないようにすることが重要です。
Cラケットの設置とガットの準備

ラケットをガット張り機に設置します。 できるだけガット張り機の中心にラケットが来るように、上下方向を引いて固定した後、4つのアームをラケットに均等に当たるように調整します。
ラケットに負荷がかかり過ぎないよう、軽く当たる程度に締め付けます。
アームのリンク機構部にガタがある場合があるので、締め付けた後にラケットとアームの間にガタが無いか再度確認します。

ロールガットから必要分ガットを切り出します。
ラケット13.5本分を切り出しますが、ラケット8本分の所でクリップ等で目印を付けておきます。
慣れる迄は多めに切り出しておいた方が無難ですが、慣れてきたら張る際のテンションに合わせて切り出すことでガットの節約もできます。
以降、ラケット8本分側をロングサイド、ラケット5.5本分側をショートサイドと呼ぶことにします

※高テンション程、張る際のガットの伸びが多く発生するので、張り終わった後の余剰分は多くなります。
※1本張り用パックを購入した時は、ガットは切らずに目印だけつけておきます。

左右各々4本ずつ程度迄グロメットにガットを通します。

この際、最初にクリップでつけた目印がラケットの頂点中央になるように左右の長さのバランスを調整します。

ラケットを抑え込むネジ式の固定具を付けてラケットが破損しない程度の力で締め込みます。
※固定具を取り付けるとラケット頂点付近のガットをグロメットに通しにくくなるので、このタイミングで固定具を取り付けます

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D縦方向ガットの張り上げ

ラケットの中央2本をガットクランプで挟みます。

ラケットの頂点から2つ目から出ているガットをチャックに挟んでゆっくりテンションをかけます。
ラケットの頂点から1つ目と2つ目テンションのかかっているガットをガットクランプで挟んで固定します。

一度2ポンド程度高くテンションををかけた後に再度目標のテンションで引くことで、数か月後も緩みにくく張ることができます。
ただ、いちいちテンションの目盛りを変えるのはかなり面倒な作業になります。
筆者は一度ガットを目標のテンションで引いた後、引きしろの部分を指で抑えてテンションを余剰にかけ、再度目標のテンションで引くことで上記の作業に代えています。

逆側のガットも同様に引き、クランプで固定します。
※中央付近のガットのテンションがアンバランスになると、フレーム際で切れる原因になります。
中央付近の縦糸はテンションが均一になるようにしっかりとテンションをかけることが重要です。

以降、上下順番にテンションをかけて張っていきますが、ラケットに歪が発生しないよう、できるだけラケットに左右対象に張っていきます。

途中、横糸の穴を塞ぐ形になる部分は、後で横糸を通し易くする為に、ガットの切れ端を挟んでおきます。

頂点から10番目迄張ったら、縦糸を一つ飛ばし、縦糸最後のグロメットホールに通します。

テンションをかけたら、間隔の空いた2本をたぐり寄せガットクランプでクランプし、飛ばしたグロメットホールにガットを通します。

縦糸最後のガットにテンションをかけてクランプします。

縦ガットの張りあがり状態です
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E横方向ガットの張り上げ
横方向のガットを張る際は、縦糸との摩擦を考慮し、2ポンド程テンションの設定を上げます。
ガットは縦糸が切れることが殆どですが、縦糸よりも横糸のテンションを上げることで、縦糸の負担割合を低下させることができ、切れにい張り上がりになります。

短い方のガット(ショートサイド)を、縦方向のガットが通っているホールの2つ上のグロメットホールに通し、縦糸を交互に交わして反対側のグロメットホールに通します。

長い方のガット(ロングサイド)を先程ショートサイドを通した一つ上のグロメットホールに通し、縦糸を交互に交わして反対側のグロメットホールに通し、テンションをかけます。

テンションのかかったロングサイドのガットを、ラケットの外側ぎりぎりの位置でクランプします。

ショートサイドのガットにテンションをかけ、ロングサイド側のガットとクランプします。

以降、ショートサイド側から交互に張り上げますが、縦糸がグロメットホールを塞いでいる場合は、縦糸を張る際に挟んだガットの切れ端をラジオペンチ等で引き、グロメットホールを露出させることで、横糸が出しやすくなります。

ショートサイドの最後の1本は、結び目を作る際にテンションロスが発生することを考慮し、2ポンド程度高く設定してテンションをかけ、できるだけ引き側でクランプし、目打ち等を活用しながらできるだけテンションロスが発生しないようにします。

最後の横糸を出したグロメットホールの近くで、径の大きいグロメットホールに通し、ダブルノットで縦糸に結びます。

グロメットを傷めないよう、縦糸に結ぶように結びます。
※グロメットに陥没するノットはグロメットの寿命を縮めてしまいます。

同様に、ロングサイドも張り上げていきますが、頂点付近は手を抜かずに先端迄張った方が、縦糸の負担量が減り、耐久性は向上します(頂点付近でのガット切れ、いわゆる「下手切れ」の確立が低下します)。

最後は忘れずにガット張り機のテンション調整ダイヤルを下限値に戻しておきます。
※これを忘れると、ガット張り機のテンション調整機構(バネ)の劣化を早めてしまいますので、忘れずに戻しておきましょう。

最後に、ガットの慣らしをしておきます。
ガットをテンション均一の設定で張ったとはいえ、引いた時のばらつきや張り後の伸び等で均一にはなっていません。
ガットが柔らかいうちに、ドライブを打つぐらいの強度で膝に20回程度打ち付けてガットの慣らしを行います。
これにより、テンションムラが解消され、シャトルを打った時にガットのフレーム付近での切れ(へた切れ)をある程度防止することができます

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